珠王戦自戦記

2024年4月20日

 2024年2月の珠王戦(全日本選手権)で優勝者に勝つというミラクルを起こしてしまったので、リクエストをもらったこともあり自戦記を書きました。

 今回の珠王戦(全日本選手権)からタラグチ10に変わるということで新しいルールに適応できるか確認するために昨年末から準備をしていました。直接なら新月を打ち、間接なら4手目を打つつもりで間接の新しい作戦のみ準備して臨みました。

 珠王戦が近付くと出場者が決まり、1局目の相手がカンサンミンさんだとほぼ決定的となりました。某氏から「絶対勝ってください!」とLINEで言われましたが、無理だなと思いながら「全力は尽くします。」と返しました。

棋譜並べ用はこちら

 対局前、タラグチ10での対局は初めてなんですよという感じで伝えておきました。

 握りでこちらの仮先となり、初手を打つと相手はスワップしてきました。直接に打つと準備していない珠型になることから間接に打ち、さらにスワップでしたので浦月を打ちました。珠型を打たなければいけないなら4手目の種類が少ない浦月を準備していました。白4は本譜の4もあるけど6だろうと思っていたので、早速計画が破綻しました。5手目を打つ気になれずスワップすると本譜のように打たれました。この5手目は逆側なら黒必勝だったと思いますがこちら側ならどうなのかというのは分かりませんでした。対称形のあえて逆側に打つというのがタラグチ10で発生する新たな面白さかなと思います。

 白が良いと信じて白を取り、7に打たれたら困るかなと思いつつも6と打ちました。そして案の定打たれた黒7。すでに投了したい気分でした。少しでも粘ろうと思い、必死に考え一番マシに見えた白8を打ったらどうやら正解だったようです。気分的には諦めモードで相手の思考中に時間があったので、運営兼任ということもあり各テーブルの仮先のチェックの作業を行いました。

 黒9、黒11と打たれてみると狭い関係もあって即負けはないかもと思えるようになりました。

 黒13と止めに来たのでまずは一安心。白14と四ノビしてから、黒も動きにくくなっただろうと判断して白16と組んでみました。白18を単に23や24に止めるのは形が悪いと思い本譜のように打ちました。黒19と打たれて、9、7、5の連と関連性が強くなってきたので四で返されるのが怖くはありましたが、白20と打ちました。23の点にできた白の三々を焦点で止めるかその一つ下で止めるかどちらだろうと思っていましたが焦点でした。白24は三で乗れるので内側に止めることも考えましたが外に回ることを優先して止めました。黒25と反撃に来たので白26と一度付き合いました。

 黒27とまた止める方向に来たので白28、白30と組みました。黒31に対してフクむように白32と反発して止めました。黒35と組まれて当初考えていた四追いも消えているし、なるほどと困りました。諦めてBに打ってフクんでから仕切り直すというプランも考えましたが、Cに打たれたらどうしようとか考えていました。ちゃんと考えればこれは四追い復活なので問題なかったですが、Dあたりが若干怪しいですかね。幸い時間は10分以上残っていたので他の勝ちを探していく中で38の四が援軍にできるという本譜の四追い勝ちが見えて、四追いなら黒の止め方のパターンを考えなくても良いという安心感で両頭の四々禁で勝つことができました(白42でAと打って黒四々禁)。追い詰めが苦手なのでいつもなら気付かなかったかもしれません。

 黒35はとりあえず、Bと打ってその後Aに止める必要があったようです。

 カンサンミンさんは自国で開催の大会に比べて持ち時間が少なかったのかどうかは分かりませんが、残り時間の焦りが作用したおかげで勝つことができました。

 第1局目はレーティング上位と下位で差が大きい中での対局となるので全体では下位者が2勝9敗1分でした。まさかそのうちの1勝となれるとは思っていませんでした。その後、カンサンミンさんは5連勝で優勝。一方、私はその後3連敗で何とか5、6局目に勝ち3勝3敗でした。

 何とか3勝3敗でまとめられたことにより、ゴールデンウィークに中国山東省で行われるチーム世界選手権に日本Bチームとして出場することになりました。各国強豪揃いですが、8年前エストニア大会に出場した時は4戦全敗(+1不戦勝)だったので、ラッキーでも良いので1勝もぎ取ってきたいと思います。応援の程よろしくお願いします。

※連珠世界5月号に若干加筆して同じ内容を掲載する予定です。

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連珠

Posted by valletta